2023 年 61 巻 2 号 p. 103-114
本研究の目的は,児童発達支援センターに勤める保育者の専門性の形成過程において組織アイデンティティをどのように認知し自身のアイデンティティとすり合わせて取り入れるのか,その関連を明らかにすることである。保育者4名へ半構造化インタビューを行い,複線経路・等至性モデルで分析した。その結果,他者とのやりとりを通した省察を繰り返すことで保育者アイデンティティを明確に認知できるようになり,支援を捉える視点が包括的に広がることで組織アイデンティティを日々の実践と結びつけて実感できるようになるプロセスが明らかとなった。包括的な視点での支援が児童発達支援センターに勤める保育者の専門性であることが示唆された。