本研究の目的は,幼児の主体性を尊重した運動会への変容の要因を検討することである。運動会の取り組みを転換した園の園長の語りをM-GTAを用いて分析した結果,運動会の変容には【運動会の変容の障壁】【見直しの契機】【変容を推し進めた要因】【保育の見直し】【変容がもたらした効果】の5つの構造が見出された。運動会の変容の障壁は,大人の過去の経験や園文化により形成された運動会の固定観念にあり,見直しの重要な要因は園長の存在とそのマネジメントであった。職員及び家庭と対話を重ね,子どもへのふさわしさを追求していく組織への変化により,園の保育と連動して運動会の変容が推し進められたことが明らかとなった。