2023 年 61 巻 2 号 p. 31-42
本研究の目的は,保幼の資格・免許を持つ小学校教師にインタビューを行い,保育・幼児教育の理解が小学校の教育活動に与える影響を明らかにすることである。調査の結果,園で活用している教育技術や乳幼児期の教育環境といった就学準備に実用的な情報は小学校低学年の教育には役立つものの,高学年教育にはほとんど活用されないことが明らかになった。一方で,環境を通した教育や子ども理解から始まる教育といった保育・幼児教育に特有の教育の見方・考え方は高学年教育にも通ずることが示された。以上の結果を踏まえ,小学校教師を幅広く保幼小連携に誘っていくための視座について議論した。