抄録
本研究の目的は,発達障害様相の学生とその学生を受け入れる保育施設の困難実態と課題を明らかにすることである。研究1の学生対象の質問紙調査から,発達障害様相の学生は実習不安を抱え精神的健康度が低く,自ら支援を求め難いことが示された。研究2の発達障害様相の学生と実習先指導者への面接調査から,困難の背景に発達障害に起因する特性が示唆されたが,学生の無自覚から支援を求めず両者の間に誤解や認識のずれが生じたことが示された。本結果から,養成校の支援策として,本人からの支援要請を待たずに要支援学生をスクリーニングし,自己理解を促す支援を開始,実習前から実習先と情報共有し連携することが有効である可能性が示唆された。