抄録
本研究では,5歳児がカリキュラムとして小学校に出会っていく経験も含み小学校入学に時間的に接近していくことが,社会文化的な場としての「小学校」と自己との関係をどのように変容させ,未来の自己である時間的拡張自己を形成しているのかを描き出すことを目的とした。その結果,時間的接近と時間的拡張自己の形成は必ずしも関連しないこと,現在の自己と連続した未来の自己が形成される場合と異質な未来の自己が形成される場合があることが明らかになった。本結果は,幼小移行を経験する主体としての5歳児にとって,小学校は未来時間に就学する場という意味にとどまらず,自己形成を支える表象としても意味をもつ可能性を示した。