運動疫学研究
Online ISSN : 2434-2017
Print ISSN : 1347-5827
総説
身体活動・運動と非感染性疾患
Edward Archer Steven N. Blair
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2012 年 14 巻 1 号 p. 1-18

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抄録

現代の環境は,明らかに,肉体労働を減らし,身体的な心地よさを高め,受動的な娯楽を楽しむ余裕を作り出すように設計されている。その結果,身体的不活動と体を動かさない娯楽は,脱工業化社会のいたるところで見られるようになった。人間の代謝,循環,筋・骨格システムは,生き残るために相当な身体活動を要する環境の中で進化してきた。このことを考えると,身体的不活動が多くの病気の原因となっていることは驚くにあたらない。疫学研究のエビデンスによれば,身体的不活動は重大なリスクであり,年齢,遺伝的要因,これまでの過ごし方(例えば,生活習慣),体組成,現在の生活習慣(例えば,食事,アルコール消費,喫煙)などとは独立して,すべての個人に対して重大な健康上の問題を引き起こす。身体的不活動は加齢変化を加速させ,心血管疾患,2型糖尿病,他の病的変化(例えば,衰弱,骨粗鬆症,サルコペニア,肥満)などの非感染性疾患の頻度を増加させる。身体的不活動による非感染性疾患死亡率の相対危険度の上昇は,小児期より認められ,年齢とともに上昇する。しかし,身体活動・運動は非感染性疾患,あるいは座業がちな生活と加齢による他の病的な変化の発症を遅らせる,あるいは予防する。本総説では,健康維持,加齢に関連する疾病,非感染性疾患の予防に身体活動・運動が欠かせない要素であることを支持している観察研究および無作為化比較試験(RCT)を概説する。


(この日本語訳は,読者の利便性を考慮して著者の許可のもとに編集委員会が作成したもので,論文の一部ではありません。日本語訳が著者の意図にあっていない可能性がありますので,正確な意味を確認するためには原文をご確認ください)

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© 2012 日本運動疫学会
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