運動疫学研究
Online ISSN : 2434-2017
Print ISSN : 1347-5827
総説
運動介入とエネルギーバランスー運動は体重コントロールの有効な手段になりえるか?
江藤 幹大河原 一憲
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2012 年 14 巻 1 号 p. 20-28

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抄録

運動は,減量や体重管理の有効な手段のひとつとして用いられている。しかしながら,運動介入を行っても体重が期待値よりも減少しないケースがみられ,特に女性のほうが男性に比べて体重が減少しにくいと報告されている。これは,運動後の非運動性身体活動量(non-exercise activity thermogenesis; NEAT)の低下や食事摂取量の増加によるエネルギー代償が要因として考えられる。NEATの低下によるエネルギー代償については,いくつかの報告で運動開始後から数週間かけて徐々にみられているが,NEATと運動を含めた総エネルギー消費量は低下しなかったという報告もある。一方,運動後の食事摂取量の増加によるエネルギー代償は,NEATの低下による影響よりも大きいようである。これは女性において顕著にみられ,更に運動量が多いとその代償反応が高まるという報告もされている。また,中期運動介入試験において,食後の満腹感の改善(満腹感が得やすくなる)が認められ,食欲調整ホルモンの変化が関連していることが示唆されている。しかしながら,運動後のエネルギー代償反応の個人差は大きく,検討されてきた要因だけでは説明しきれない。今後,脳科学からのアプローチを含めた更なる検討が期待される。

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© 2012 日本運動疫学会
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