2012 年 14 巻 2 号 p. 107-116
歩行は人間にとって最も一般的な運動の形態である。身体活動を客観的に測定する機器(歩数計や加速度計)の開発によって,公衆衛生研究者は歩行などの行動を,最小限のバイアスで測定することができるようになった。これらの機器を活用した国の調査,州の調査なども多い。これらの調査の結果や,小規模な調査の結果によって,1日の総移動量(歩/日)とさまざまな健康指標との関連が検討されている。これらの多くの研究はまた,「何歩くらいだと活動量が少なすぎるのか」あるいは「何歩くらい歩けば十分なのか」といった疑問を引き起こした。更にいうと,最近の疫学研究は,歩くスピード(歩/分)とさまざまな健康指標との関連を示しており,「どのくらいの速さで歩けばよいのか」といった疑問を提示した。本稿では,1)客観的な測定装置(歩数計,加速度計)を用いた記述疫学研究の結果を要約し,2)どのくらいの歩行量が不十分,あるいは十分なのかに答え,3)公衆衛生的視点からみた歩行スピードの重要性を考察し,4)歩行評価に関する今後の研究の方向性を明らかにする。
(この日本語訳は,読者の利便性を考慮して著者の許可のもとに編集委員会が作成したもので,論文の一部ではありません。日本語訳が著者の意図にあっていない可能性がありますので,正確な意味を確認するためには原文をご確認ください)