運動疫学研究
Online ISSN : 2434-2017
Print ISSN : 1347-5827
14 巻 , 2 号
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巻頭言
総説
  • John M. Schuna, Jr., Catrine Tudor-Locke
    2012 年 14 巻 2 号 p. 107-116
    発行日: 2012/09/30
    公開日: 2021/05/09
    ジャーナル フリー

    歩行は人間にとって最も一般的な運動の形態である。身体活動を客観的に測定する機器(歩数計や加速度計)の開発によって,公衆衛生研究者は歩行などの行動を,最小限のバイアスで測定することができるようになった。これらの機器を活用した国の調査,州の調査なども多い。これらの調査の結果や,小規模な調査の結果によって,1日の総移動量(歩/日)とさまざまな健康指標との関連が検討されている。これらの多くの研究はまた,「何歩くらいだと活動量が少なすぎるのか」あるいは「何歩くらい歩けば十分なのか」といった疑問を引き起こした。更にいうと,最近の疫学研究は,歩くスピード(歩/分)とさまざまな健康指標との関連を示しており,「どのくらいの速さで歩けばよいのか」といった疑問を提示した。本稿では,1)客観的な測定装置(歩数計,加速度計)を用いた記述疫学研究の結果を要約し,2)どのくらいの歩行量が不十分,あるいは十分なのかに答え,3)公衆衛生的視点からみた歩行スピードの重要性を考察し,4)歩行評価に関する今後の研究の方向性を明らかにする。


    (この日本語訳は,読者の利便性を考慮して著者の許可のもとに編集委員会が作成したもので,論文の一部ではありません。日本語訳が著者の意図にあっていない可能性がありますので,正確な意味を確認するためには原文をご確認ください)

  • 杉山 岳巳
    2012 年 14 巻 2 号 p. 118-124
    発行日: 2012/09/30
    公開日: 2021/05/09
    ジャーナル フリー

    身体活動の地域レベルでの推進を図るうえで環境を用いたアプローチが有効であると考えられている。身体活動には個人,集団,環境等の異なる要因がかかわっており,エコロジカルモデルはこれらの多レベルの要因を取り込んだ介入の重要性を指摘している。本総説はこれまでの身体活動と環境に関する研究を振り返り,身体活動を実行(開始)と維持の異なる段階に分ける新しいモデルを提示している。このモデルにおいて個人,集団の要因はより実行段階にかかわっており,環境要因はより維持に貢献していると仮定することができる。今後の研究においてはどのレベルの要因が身体活動の定着へのプロセスにどのようにかかわっているかを検討することが必要である。

  • 山田 実
    2012 年 14 巻 2 号 p. 125-134
    発行日: 2012/09/30
    公開日: 2021/05/09
    ジャーナル フリー

    高齢者の3人に1人は1年間に1回以上経験するとされる転倒は,主要な要介護要因の1つとしても挙げられている。近年,いくつかの転倒予防介入に関するシステマティックレビューによって,転倒予防介入の有用性について報告されている。しかしながら,これらの報告は65歳以上の高齢者をひとまとめに“高齢者”として扱っていることから,すべての高齢者に汎用化されるとは言い難く,有用になる機能レベルの高齢者もいれば,そうでない機能レベルの高齢者も含まれてしまう。機能レベル別の転倒リスク要因を検証すると,比較的機能レベルが高い高齢者では二重課題能力の低下が,逆に比較的機能レベルが低い高齢者では下肢筋力の低下が転倒と関係していた。更に,このような機能レベル別の要因に応じた介入を行うことで,必要となる機能を適切に向上させ,転倒予防に有用となることも示唆されている。しかし,現状では十分に科学的検証がなされているとは言い難く,テーラーメード型の転倒予防の確立に向けて,今後更なる検証が求められている。

原著
  • 佐藤 舞, 石井 香織, 柴田 愛, 川淵 三郎, 間野 義之, 岡 浩一朗
    2012 年 14 巻 2 号 p. 135-142
    発行日: 2012/09/30
    公開日: 2021/05/09
    ジャーナル フリー

    目的:校庭の芝生化前後における児童の休み時間の身体活動の変化について検討することとした。

    方法:対象者は小学校3年生から6年生の男子50名,女子36名とした。加速度計7日間連続装着により,芝生化(トラックの内側およそ2,500 m2)前後の身体活動実施状況を測定した。中休み(25分)と昼休み(15分)における座位活動および低強度,中等度,高強度身体活動実施時間を評価した。学年を共変量とした反復測定分散分析を用い,芝生化前後の身体活動の変化について性別に検討した。

    結果:分析対象者は,中休み55名(男子35名),昼休み56名(男子35名)であった。中休みにおいて,女子の中等度身体活動が有意に増加した(芝生化前1.3±0.7分,芝生化後1.6±0.7分;p = 0.04)。 一方で,昼休みにおいては男女ともに座位活動が有意に増加(男子:芝生化前3.6±2.7分,芝生化後6.8±3.1分;p < 0.001,女子:芝生化前3.9±2.3分,芝生化後7.5±2.4分;p = 0.02),低強度身体活動が有意に減少した。

    結論:校庭の芝生化前後で,中休みにおける女子の中等度身体活動の増加が認められた。一方で昼休みにおいては,男女ともに座位活動が増加,低強度身体活動は減少した。今後,行動観察法を用いて身体活動の質的変化についても検討し,芝生化をより効果的なものにするための工夫が求められる。

  • 中田 由夫, 大河原 一憲, 大島 秀武, 田中 茂穂
    2012 年 14 巻 2 号 p. 143-150
    発行日: 2012/09/30
    公開日: 2021/05/09
    ジャーナル フリー

    目的:加速度計は,自由生活下での身体活動を客観的かつ妥当に評価する手段として広く用いられている。しかしながら,データを処理する際の設定条件によって,解析結果が異なる可能性がある。本研究では,3軸加速度計Active Style Pro(オムロンヘルスケア,京都)を用い,設定条件の1つであるepoch lengthの違いが解析結果に与える影響を,歩行活動と歩行以外の活動(以下,生活活動)に分けて検討した。

    方法:本研究の参加者は減量介入研究のために集められた213人の過体重成人であり,データの得られた209人を解析対象者とした。身体活動のベースライン調査として,14日間,加速度計を装着した。有効日数は平日2日,休日1日以上とし,1日当たり10時間以上装着している日を有効日と定義した。

    結果:Epoch lengthが10秒の場合と比較して60秒の場合,3 METs以上の活動時間が歩行活動,生活活動ともに短く,3 METs未満の活動時間では歩行活動が短く,生活活動が長かった。効果量(Cohen’s d)で比較すると,3 METs以上では歩行活動で1.43,生活活動で2.81,3 METs未満では歩行活動で0.30,生活活動で3.33であり,いずれも歩行活動よりも生活活動における影響が大きかった。

    結論:Epoch lengthの違いは身体活動量の解析結果に影響を及ぼし,その程度は歩行活動よりも生活活動で顕著であることが示唆された。

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