目的:学童期・思春期における適切な睡眠の確保は,健全な発育発達を促すうえで重要である。しかし,睡眠指標の関連要因についての学術的根拠は乏しい。本研究では,身体活動やメディア利用が適切な睡眠と関連するか検証することを目的に,小学校高学年児童および中学生を対象に睡眠指標との関連性を検討した。
方法:2007年に,山梨県都留市内の公立小学校8校および中学校3校の児童・生徒524名を対象に調査を実施した。目的変数は睡眠指標として,総睡眠時間と睡眠の質を調査した。総睡眠時間は,9~13歳は9~11時間,14~15歳は8~10時間を基準に,「推奨値達成」「推奨範囲外」に分類した。説明変数は,身体活動では加速度計による歩数の測定,運動・スポーツ実施状況,身体を動かす遊びの実施状況とし,スクリーンタイムではテレビ視聴時間,ゲーム・パソコン使用時間の合算値とした。調整変数は,性,年齢,習い事,忙しさ,学校とした。ロジスティック回帰分析によりこれらの関連を検討した。
結果:総睡眠時間においては,スクリーンタイムが2時間未満の者は,総睡眠時間の推奨値を達成する者が多かった(オッズ比[OR]=1.39,95%信頼区間[CI]=1.04–1.86)。睡眠の質においては,身体を動かす遊びをよくする者は,睡眠の質が良好であった(OR=2.00,95% CI=1.37–2.92)。
結論:学童期・思春期における適切な睡眠時間はスクリーンタイムと,身体を動かす遊びは睡眠の質と関連することが明らかとなった。