運動疫学研究
Online ISSN : 2434-2017
Print ISSN : 1347-5827
21 巻, 1 号
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巻頭言
総説
  • 黒澤 彩, 柴田 愛, 石井 香織, 澤田 亨, 樋口 満, 岡 浩一朗
    2019 年21 巻1 号 p. 5-19
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2019/06/14
    ジャーナル フリー

    目的:座位行動や身体活動の日内パターンの解明を主目的とした研究についてシステマティックレビューを行い,これまでの知見を整理し,今後の課題を明らかにすることを目的とした。

    方法:5つの文献データベースで検索した論文について,採択基準(成人,時間帯別の座位行動または身体活動に関する内容を含むなど)を基に該当論文を選定し,1)座位行動および身体活動の日内パターンの分布・傾向,2)座位行動および身体活動の日内パターンに関連する要因,3)座位行動および身体活動の日内パターンと健康アウトカムの関連という3つの観点から整理した。

    結果:採択論文27編のうち,2015年以降欧米や豪州の高齢者層を中心に,加速度計法で評価した座位行動や身体活動を1時間ごと,あるいは1日を3つに区分して検討した研究が主流であった。分布・傾向を検討した12編の主な傾向として,日内の遅い時間帯で座位行動レベルの上昇と身体活動レベルの低下がみられた。また,関連要因を検討した21編の多くで,性別や年齢,肥満度と座位行動や身体活動パターンに関連がみられた。健康アウトカムとの関連を検討した研究は1編のみであった。

    結論:座位行動や身体活動の日内パターンを検討した論文は少なく,対象者の居住地域や年齢,扱われた関連要因や健康アウトカムに偏りがあった。 セグメント化した介入のため,今後は対象者の特性別,特に我が国の壮年・中年層を含めた研究成果の蓄積が必要である。

原著
  • 中沢 孝, 辻本 健彦, 前田 清司, 田中 喜代次
    2019 年21 巻1 号 p. 20-27
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2019/06/14
    ジャーナル フリー

    目的:マラソン大会に参加する中高年男性が増加し,タイムや順位を目指す者も多いと思われる現状を踏まえ,本研究では国内のトップレベルの中高年男性市民ランナーにおける加齢に伴うマラソン記録の低下の推移を明らかにすることを目的とした。

    方法:国内の主要なマラソン大会を網羅した全日本マラソンランキングにおいて,2007年度から隔年で2015年度までの結果を調べ,2007年度の時点で36歳以上かつ,少なくとも2011年度,2013年度,2015年度のすべての年度で年齢別順位100位以内を達成したランナー1,003名を抽出した。対象者を最速年度から2015 年度までの平均年齢によって5歳刻みでグループ分けし,各ランナーの1年当たりのフルマラソン平均速度の変化を回帰係数により算出したうえで,各グループ内およびグループ間の統計量を計算した。

    結果:一元配置分散分析の結果,各年齢グループ間におけるマラソン平均速度の1年当たりの減少量に有意な違いがみられた。年齢が高くなるにつれて同減少量は増大したが,特に70歳以降では減少量が大きかった。

    結論:トップレベルの中高年男性マラソンランナーにおいては,加齢に伴い1年当たりのマラソン平均速度の減少量が徐々に増大し,70歳前後を境に加速することが示唆された。

  • 根本 裕太, 北畠 義典, 稲山 貴代, 荒尾 孝
    2019 年21 巻1 号 p. 28-37
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2019/06/14
    ジャーナル フリー

    目的:学童期・思春期における適切な睡眠の確保は,健全な発育発達を促すうえで重要である。しかし,睡眠指標の関連要因についての学術的根拠は乏しい。本研究では,身体活動やメディア利用が適切な睡眠と関連するか検証することを目的に,小学校高学年児童および中学生を対象に睡眠指標との関連性を検討した。

    方法:2007年に,山梨県都留市内の公立小学校8校および中学校3校の児童・生徒524名を対象に調査を実施した。目的変数は睡眠指標として,総睡眠時間と睡眠の質を調査した。総睡眠時間は,9~13歳は9~11時間,14~15歳は8~10時間を基準に,「推奨値達成」「推奨範囲外」に分類した。説明変数は,身体活動では加速度計による歩数の測定,運動・スポーツ実施状況,身体を動かす遊びの実施状況とし,スクリーンタイムではテレビ視聴時間,ゲーム・パソコン使用時間の合算値とした。調整変数は,性,年齢,習い事,忙しさ,学校とした。ロジスティック回帰分析によりこれらの関連を検討した。

    結果:総睡眠時間においては,スクリーンタイムが2時間未満の者は,総睡眠時間の推奨値を達成する者が多かった(オッズ比[OR]=1.39,95%信頼区間[CI]=1.04–1.86)。睡眠の質においては,身体を動かす遊びをよくする者は,睡眠の質が良好であった(OR=2.00,95% CI=1.37–2.92)。

    結論:学童期・思春期における適切な睡眠時間はスクリーンタイムと,身体を動かす遊びは睡眠の質と関連することが明らかとなった。

  • 鈴木 康裕, 中田 由夫, 清水 如代, 田邉 裕基, 新井 良輔, 羽田 康司
    2019 年21 巻1 号 p. 38-46
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2019/06/14
    ジャーナル フリー

    目的:本研究は,ボートレーサーの競技成績(勝率)をアウトカムとし,年齢,性別,体重および動的バランス能力との関連性を横断的に検討することを目的とした。

    方法:研究対象者は日本モーターボート選手会に所属する137名のボートレーサー(年齢24~69歳,平均40.2±8.2歳,BMI 19.5±1.0 kg/m2)である。2016年5月~2017年4月に行われたレース結果の勝率をアウトカムとした。2016年6~10月に動的バランス能力の指標として,閉眼片脚立位時間と重心動揺計を用いた姿勢安定度(modified index of postural stability; mIPS)を評価した。勝率と年齢,性別,体重および動的バランス能力との関連については,強制投入法による重回帰分析を行った。

    結果:重回帰分析の結果,勝率は体重およびmIPSと有意に関連していた(p < 0.001)。一方,年齢,性別,閉眼片脚立位時間については,関連因子としての有意性は認められなかった。

    結論:ボートレーサーの競技成績は,年齢,性別,閉眼片脚立位時間とは関連せず,体重と動的バランス能力と関連することが示唆された。

  • 藤田 ひとみ, 細野 晃弘, 柴田 清, 辻村 尚子, 岡 京子, 岡本 尚子, 神谷 真有美, 近藤 文, 若林 諒三, 市川 麻理, 山 ...
    2019 年21 巻1 号 p. 47-55
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2019/06/14
    ジャーナル フリー

    目的:身体活動は糖代謝に影響を及ぼすことが知られており,生活習慣病の予防と密接な関係をもつ。我々は過去の身体活動について若年期の身体活動量に着目し,壮年期以降の糖代謝との関係について調査した。

    方法:対象者は,40歳から79歳までの愛知県岡崎市の住民で,2007年4月から2011年8月までの間に岡崎市医師会公衆衛生センターで健康診断を受け,研究への参加に同意が得られた者とした。過去の身体活動量とインスリン抵抗性との関連を検討するために,質問紙から得られた年齢,BMI,飲酒および喫煙習慣,現在の運動習慣を調整した多変量線形回帰分析を行った。

    結果:最終的に男女合計2,378名から得られたデータを分析した。インスリン抵抗性を目的変数とした多変量線形回帰分析の結果,インスリン抵抗性と年齢,BMIには有意に正の関連を認め,飲酒習慣,現在の運動習慣,若年期の身体活動には有意に負の関連を認めた。20代の「やりすぎ」群を除いては,インスリン抵抗性の正常範囲内の数値であった。

    結論:若年期に定期的な身体活動がある場合,壮年期以降のインスリン抵抗性をもつ割合は低く,身体活動量が多くなるにつれてインスリン抵抗性が低くなる傾向がみられた。

二次出版
  • ―Journal of the American Geriatrics Societyに掲載された英語論文の日本語による二次出版
    上村 一貴, 山田 実, 岡本 啓
    2019 年21 巻1 号 p. 56-67
    発行日: 2019/03/31
    公開日: 2019/06/14
    ジャーナル フリー

    目的:アクティブ・ラーニング型教育介入が高齢者のヘルスリテラシー,認知・身体機能,身体活動および食習慣に及ぼす影響について検証すること。

    デザイン:ランダム化比較試験

    セッティング:日本の農村地域

    対象:65歳以上の高齢者84名とし,健康教育介入群(42名)と対照群(42名)にランダムに割付した。

    介入:介入群には,週1回90分,24週間の運動,食習慣・栄養,知的活動による健康づくりをテーマとしたアクティブ・ラーニング型健康教育を実施した。アクティブ・ラーニングは,調査学習,グループワーク,行動変容に向けた計画立案を含み,健康行動の実践を促した。

    測定:アウトカムは,割付前と24週間の介入後で測定した。主要アウトカムである包括的ヘルスリテラシーを,Health Literacy Scale-14(HLS-14),16-item European Health Literacy Survey Questionnaire(HLSEU-Q16)により評価した。認知機能は,処理速度,言語流暢性,ワーキングメモリ,記憶の4領域で評価した。身体機能と身体活動量を客観的指標により測定した。

    結果:HLS-14,HLS-EU-Q16の疾病予防領域,言語流暢性(カテゴリー課題),Scenery Picture Memory Test,Timed Up & Go test,歩行速度,平均歩数,身体活動レベル,食品摂取多様性得点について,対照群に比較して介入群で改善していた。

    結論:アクティブ・ラーニングを用いた健康教育介入によって,高齢者の包括的ヘルスリテラシー,言語流暢性,記憶,歩行速度,バランス能力,身体活動,食品摂取多様性に改善効果が得られることが示唆された。

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