2010 年 3 巻 1 号 p. 55-67
全国47都道府県のパネルデータを用いて,産業廃棄物税(以下,産廃税)導入による産廃最終処分量の削減効果について,課税方式別に分析する.併せて,経済状況が最終処分量に与える影響についても分析する.分析の結果,三重・滋賀両県で導入されている課税方式では,県内排出の最終処分量は課税当初減少するが,その後増加に転じること,また県外搬入を含めた場合は増加のみが確認される.一方,その他の県で導入されている課税方式では有意な影響は見られないことが示される.また経済状況に関しては,農業と建設業の生産額増加が最終処分量の増加をもたらす一方,窯業・土石については最終処分量の減少をもたらすことが示される.