環境経済・政策研究
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学術賞受賞記念講演
資源循環型社会の制度設計と政策展望
細田 衛士
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2010 年 3 巻 1 号 p. 7-20

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抄録

本論文は,筆者がこれまで行ってきた資源循環型社会の研究の概要を説明し,あわせて今後の研究の方向性を具体的に示すことを目的としている.筆者の資源循環型社会の研究は,3つの分析的接近方法を採ることによって進められてきた.すなわち,経済理論分析,法制度論的分析,およびデータ分析の3つの接近方法である.理論分析は,たとえば拡大生産者責任を経済学的にどのように裏付けるかといったことに用いられる.また,グッズとバッズの相対性を示す際にも強力な武器となる.法制度論的分析は,廃棄物処理法や個別リサイクル法などの制度的枠組みと市場の成果との関係を示すのに不可欠である.理論分析や法制度的分析によって得られた結果は,データ分析によって補強される.たとえば,日本の自動車リサイクル法も以上の接近方法によってその機能が明らかにされる.同法では拡大生産者責任の1要素である物理的責任が生産者に課せられているが,本研究の理論モデルによってその効率性が明らかにされる.また制度的枠組みが廃車ガラなどの取引市場をどのように規定しているか明らかにするとともに,シュレッダーダスト等を生産者の無料引き取りとした時の廃車ガラ取引への影響をデータによつて確かめる.

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© 2010 環境経済・政策学会
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