抄録
本研究では,日本の電力部門をボトムアップ型の数理モデルで表現し,二酸化炭素排出量制約条件を考慮したコスト最小化問題を解くことにより,再生可能エネルギー発電技術への技術進歩の影響を明らかにする.技術進歩としてAEEIと二因子技術習熟を用いることで,主に政府等による研究開発の動向をモデルに内生化する.公的な研究開発投資予算に制約を課さない場合,二因子技術習熟によって,再生可能エネルギーの発電コストは最大で43%低減可能である.また公的な研究開発投資は,2050年にそのピークに達し,その後減少傾向に転じる.そのときの投資額は,2000年次の日本のエネルギー予算の約80%に相当する.