環境経済・政策研究
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8 巻, 1 号
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学術研究論文
  • ―被害者の立場から考える新たな補償制度について―
    阪本 将英
    2015 年8 巻1 号 p. 1-18
    発行日: 2015/03/27
    公開日: 2015/04/28
    ジャーナル フリー
    本稿においては,石綿健康被害救済制度の構造的問題と制度見直しの根拠を明らかにしたうえで,アスベスト健康被害者の立場から,どのような補償制度が求められるのかを検討した.本制度の課題は,他の健康被害救済制度に比べて給付内容が貧弱であるうえに,被害者ならびにその家族・遺族までを含めた包括的被害者に対して,経済的負担や介護負担を軽減するための機能,さらには身体的精神的負担を軽減するためのケアシステムを有していないことにある.このことを踏まえ,本稿では包括的被害者をキーワードに,これらの負担を軽減するための制度改革案を提示した.
  • 臼井 岳文, 古林 敬顕, 中田 俊彦
    2014 年8 巻1 号 p. 19-36
    発行日: 2014/03/28
    公開日: 2015/04/28
    ジャーナル フリー
    本研究では,日本の電力部門をボトムアップ型の数理モデルで表現し,二酸化炭素排出量制約条件を考慮したコスト最小化問題を解くことにより,再生可能エネルギー発電技術への技術進歩の影響を明らかにする.技術進歩としてAEEIと二因子技術習熟を用いることで,主に政府等による研究開発の動向をモデルに内生化する.公的な研究開発投資予算に制約を課さない場合,二因子技術習熟によって,再生可能エネルギーの発電コストは最大で43%低減可能である.また公的な研究開発投資は,2050年にそのピークに達し,その後減少傾向に転じる.そのときの投資額は,2000年次の日本のエネルギー予算の約80%に相当する.
研究報告論文
  • 吉田 文和
    2014 年8 巻1 号 p. 37-49
    発行日: 2014/03/28
    公開日: 2015/04/28
    ジャーナル フリー
    再生可能エネルギーの拡大をめざすドイツの再生可能エネルギー制度改革をめぐる問題は,買取価格の適時的確な調整の必要性,負担の公平性確保の重要性,送電線などのインフラ整備の計画性と住民の受容性確保,産業の国際競争力と市民の負担の調整問題,調整電源の確保と費用負担問題,などを示しており,今後再生可能エネルギーを拡大していくうえで,避けて通れない問題群であり,日本などは後発者の立場から注意深く学ぶ必要がある.今後の見通しについては,種類ごとに買取価格を決める固定価格買取制度の枠組みそのものは変わらないが,量的コントロールが強められ,固定価格買取価格が平均で17セント/kWhから12セント/kWhに引き下げられ,直接取引,市場プレミアムの拡大と入札制の導入が進められる.
研究展望
  • 有村 俊秀
    2014 年8 巻1 号 p. 50-60
    発行日: 2014/03/28
    公開日: 2015/04/28
    ジャーナル フリー
    「ポスト京都議定書」の国際枠組みの議論にあわせて,欧州委員会を中心に各国の排出量取引制度を国際的にリンクすることが構想された.国際リンクを推進すべき理由はいくつか考えられる.第1に,限界費用の均等化による削減の効率化である.第2に,国内排出量取引制度導入時に懸念されるエネルギー集約産業に対する過度の負担の緩和があった.本稿は,以上の2点に留意しながら国際リンクの経済分析の中でも応用一般均衡分析に焦点をあてて展望する.初めに,リンクの種類を概観した上で,直接リンク,次に,間接的なリンクについての研究を紹介する.そして,間接リンクに貢献しうると考えられる二国間クレジット制度やセクター別クレジットメカニズムを紹介したうえで,国際リンクの研究を展望する.
  • 金子 慎治, 西谷 公孝, 藤井 秀道, 小松 悟
    2014 年8 巻1 号 p. 61-73
    発行日: 2014/03/28
    公開日: 2015/04/28
    ジャーナル フリー
    1990年代後期から企業がプロアクティブな環境経営に取り組むようになった結果,環境政策と企業の環境パフォーマンスの関係に新たな構造がうまれた.すなわち,消費者行動や市場の変化が重要な要因として複雑に絡むようになった.こうした状況変化を環境経営時代と称し,本稿では,企業の積極的な環境経営を後押しするに十分な消費者や市場の変化があるというシグナルを確認するとともに,企業に対する環境政策のあり方が,消費者や市場の変化を通した企業行動の変化といった経路を含めて問われていることを指摘した.
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