2013 年 39 巻 2 号 p. 63-74
本研究の目的は,強迫的構えを有する大学生に対して臨床動作法を用いた面接過程における自己対峙的体験と他者対峙的体験に注目し動作法の効果を検討することである。クライエントは,対人関係や将来における不安を強迫的構えによって対処し,単位取得や卒業後の進路選択に取り組めない状態に陥っていた。動作法による自己弛緩を面接に取り入れたことによって,クライエントは対人関係における自分の行動をコントロールするようになり,単位取得と卒業後の進路選択へ向かえるようになった。クライエントはセラピストの提示する自己弛緩の課題に向き合い,セラピストとの応答を繰り返し弛緩した自己を体験する過程を通して,クライエントの自己完結的な構えは相互応答的な構えへと変化した。動作法を通した新たな自己対峙的体験と他者対峙的体験は,大学生の自己や他者へ信頼感を築き,対人関係における自己の捉え直しを促したと考えられた。