長期的土地利用計画では災害を複合的に捉えるだけでなく、人口増減も考慮する必要があり、それを事前復興計画の策定を通じて検討することが重要であることが、東北地方太平洋沖地震の教訓として得られた。そこで本研究では、人口増減と複合災害の情報を含む空間データベースを構築し、それを用いた長期的土地利用計画の検討例を示すことで、事前復興計画策定技術の向上を図り、減災都市計画の展開に寄与することを目的とする。<br>具体的には、データベースを活用した長期的な市街地の移転シナリオを構築するモデルを示すこととする。このモデルは、移転前後の市街地の面積や人口の移動量を把握可能とするため、土地利用計画を検討する際に有用なものとなる。