歴史を遡ると、日本では入会による自然資源の共同管理、地域資源の活用がなされていた。任意団体である南小松入会地管理会が保有する滋賀県大津市南小松の近江舞子浜も、かつては村中共有の入会地であり、一部が財産区となっていた経緯を持つ。本研究は、約120年に渡り引き継がれてきた南小松の地域組織による観光開発と景勝保全活動を実例とし、古文書等の文献調査、聞き取り調査、現地踏査から1)入会地の歴史的変遷、2)その実態把握から地域組織による入会地管理の機能とその変遷を明らかにした。目的に則った機能分化のための組織編成、公益的利益配分、知的資源の限定を管理運営の特徴として考察した。