近年、地方都市の活性化において、「通り」の連続性や意識など地域の歴史性が重要な要素として評価されている。しかし、市街地活性化の手法のひとつである再開発事業では、周辺地域との連携不足などから、それらを損なう可能性があると考えられる。そこで、本研究では静岡市の中心商店街を対象に、行政や商店街組合へのヒアリング調査及び文献調査を通して、地域の歴史性を継承する再開発事業を実現する上での課題を明らかにした。対象地では行政と地権者双方が再開発事業において、「通り」の連続性や意識を継承する意図が見られた。一方で、歴史性を継承する意識は公共貢献として評価が難しく、地権者は補助金が得られないことにより、事業実現が困難となっていることが明らかになった。