都市計画報告集
Online ISSN : 2436-4460
21 巻, 1 号
都市計画報告集
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 熊本県小国町を事例に
    木村 明日香, 諏訪 亜紀
    原稿種別: 研究論文
    2022 年21 巻1 号 p. 1-7
    発行日: 2022/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    日本では、2012年7月の固定価格買取制度(FIT)導入を皮切りに、再生可能エネルギーへの関心が急速に高まっている。しかし、再生可能エネルギーの導入は脱炭素化に貢献する一方で、その潜在的な過剰開発は開発者と地元の利害関係者との間の紛争につながる可能性もある。日本の地熱発電にあおいては、地熱資源に重大な利害関係を持つ温泉事業者など、独自のステークホルダーが存在するため、地域の合意形成が極めて重要である。一部の自治体では、利害関係者間の対話を促進するために、地熱発電の開発に関する規制を制定している。これらの自治体が設置する条例及び関連協議会は、地方の地熱エネルギーガバナンスに不可欠な役割を果たすことが期待される。本稿では、地域規制の枠組みが、地域社会と共生する地熱開発にどの程度貢献しているかを評価するために、その影響を九州における事例に着目して検証する。

  • 石川 美澄
    原稿種別: 研究論文
    2022 年21 巻1 号 p. 8-13
    発行日: 2022/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本稿の目的は、Webアンケート調査を通して明らかとなった二拠点生活や多拠点生活を実践している人々の「まちの居場所」の実態に関する結果を速報的に報告することである。「まちの居場所」に統一された定義はないが、それは人が思い思いに過ごすことができたり、他者との出会いや社交を楽しむことができたりする場所を指す。調査の結果、サブ居住地よりもメイン居住地に「まちの居場所」があると回答した人の割合のほうが若干高かった。また、訪問理由や訪問頻度、平均滞在時間に違いがみられた。なお、「どこにも居場所がない」と回答した人も確認された。

  • 内本 航平, 宮川 智子
    原稿種別: 研究論文
    2022 年21 巻1 号 p. 14-19
    発行日: 2022/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    日本のニュータウンでは、高齢化や施設の老朽化、近隣センターにおける店舗の減少や子ども世代の減少等の問題が顕著になっている。今後の方向性を見出すにあたり、本研究では泉北ニュータウンの光明池地区を対象に、住民アンケートおよび補足的なヒアリング調査を実施し、分析することで泉北ニュータウン光明池地区に関する住民の意識を明確化することを目的とする。結果から、住民においては近隣センターへの関心が最も高いことが分かった。泉北ニュータウンが立地する傾斜地については、地域の特徴であり、運動の場に適しているなど良い印象に関する項目の回答が多数となった。加えて、緑道や緑のある空間は、地域の特徴であり、良好な住環境を形成し、コミュニティ形成の場にもなっていることが伺える。

  • 森山 桂, 稲垣 景子, 吉田 聡, 佐土原 聡
    原稿種別: 研究論文
    2022 年21 巻1 号 p. 20-23
    発行日: 2022/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、被災者の実体験から、避難所環境の改善に寄与する知見を抽出することを目的とし、熊本地震(2016年)発生後の避難所利用の実態と、避難所を利用した目的・理由(利用しなかった理由)、避難所での不満・困ったことについて、被災者に対してアンケート調査を実施した。本調査の結果、公的な避難所以外に、親戚宅や車中など被災生活の拠点となった場があり、避難所の利用目的が多様であること、個人属性・利用目的ごとに避難所に対して不満に感じる内容が異なること等が明らかにされた。

  • 「金田一耕助 春の誕生会 in 桜」を事例として
    今津 海
    原稿種別: 研究論文
    2022 年21 巻1 号 p. 24-27
    発行日: 2022/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    近年、多くの地域において、地域資源を活用した地域密着型のイベントが注目を集めている。岡山県倉敷市真備町岡田地区において、地域住民らが主体となって2015年から開催されている「金田一耕助 春の誕生会 in 桜」もその一例である。本研究の目的は、岡山県倉敷市真備町岡田地区において、地域住民主体の地域イベント「金田一耕助の春の誕生会 in 桜」の事例を通して、地域住民が主体となって行う地域イベントの成果と課題について考察することである。結論として、イベントの成果として、関係人口の拡大等が挙げられた一方で、高齢化による人材不足が大きな課題であることが示唆された。

  • 宮崎県児湯郡新富町の一般財団法人こゆ地域づくり推進機構を事例にして
    江口 慶, 佐久間 康富
    原稿種別: 研究論文
    2022 年21 巻1 号 p. 28-35
    発行日: 2022/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    育成対象の段階に応じた経験を起業家育成講座や新富町役場・こゆ財団からの仕事の委託を通じて作り、その支援をすることで、起業までの流れを作り出そうとしている。自己認識と知識を深める段階では、外部からの刺激を与えられる支援が効果的であり、外部から刺激を受けても、思考をきちんと整理できる支援することが課題である。仕事として実行する段階では、試行の機会・幅を広げる、人との繋がりや相談の機会の提供が効果的な支援であり、広がった試行の機会を、目的と手段を明確化して取捨選択できるような支援を広げることが課題である。

  • 垂直移動に着目して
    繁縄 将太, 吉川 徹
    原稿種別: 研究論文
    2022 年21 巻1 号 p. 36-42
    発行日: 2022/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    AGTは高架鉄道であるため、高齢者が利用する場合、乗り場まで上り下りする必要があり、利用が敬遠されることが懸念される。そこで、本研究では、日暮里・舎人ライナーおよび多摩モノレールにおいて、乗客がある駅から別の駅への区間を移動する際に、移動時間と等価係数を掛け合わせた一般化時間を用いることで垂直移動荷重を考慮して、AGTと路線バスの優位な領域を算出した。 その結果、高低差の大きい区間では、バスが優れていることがわかった。また、長距離区間におけるAGTの優位な領域は、高齢者よりも非高齢者の方が広かった。 従って、時間的制約の大きい非高齢者は移動時間からAGTを、身体的負担の大きい高齢者は一般化時間から路線バスを好んで利用することが推察される。

  • ニューヨーク市の事例に基づく横浜市都心臨海部関内エリアでのケーススタディ
    中西 豊, 野原 卓
    原稿種別: 研究論文
    2022 年21 巻1 号 p. 43-46
    発行日: 2022/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    国内で地元主導による道路の整備や活用を進める機運が高まっている。そのような中で、アメリカでは地元組織を支援し、行政の方針に沿って活用を進める先進事例が存在する。本研究では、先進事例を地元の参加プロセスの観点から整理し、地域組織が主体的に参画する道路空間マネジメントプログラムの導入可能性を明らかにした。その結果、先進事例には、申請の流れ、地元の合意形成、市民との意見交換の実施、設計への参加、維持管理・運営の実施、の5つの共通する参画プロセスがあるとわかった。そして、関内エリアでの導入可能性として、申請の段階において審査のプロセスを組み込む可能性がみられた。一方で課題として、審査過程で他の応募者や道路管理者、沿道関係者との合意形成が難しいこと、運営体制構築の支援、運営に対する行政のネガティブチェックだけでない対応を考えることが挙げられた。

  • 猿江恩賜公園の二つの芝生広場を例に
    竹内 智子, 池田 龍仁, 高橋 和敬, 上杉 哲郎
    原稿種別: 研究論文
    2022 年21 巻1 号 p. 47-50
    発行日: 2022/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    猿江恩賜公園内の2つの芝生広場における利用者の滞留行動を観察調査し、アンケート調査や聞き取り調査を行った結果、以下のことが明らかになった。まず、人々の滞留行動は、芝生広場の樹木の樹冠やその境界線に集中する傾向があり、特に秋には樹冠の下の日陰で過ごす人が多いことがわかった。レジャーシートや可動式椅子はレンタル需要が高く、固定ベンチよりも公園利用者自身が快適な場所を選び、滞留行動を促す効果があると考えられる 。また、公園内の飲食施設に対する需要も高い傾向にあった。

  • 福岡県那珂川市の郊外住宅団地を対象として
    熊谷 勇輝, 黒瀬 武史
    原稿種別: 研究論文
    2022 年21 巻1 号 p. 51-56
    発行日: 2022/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、市街化調整区域に位置する住宅団地と既存集落を対象として、開発経緯の違いや、世帯属性の違いに着目して、居住者の居住継続意向を分析した。本研究が対象とした住宅団地と既存集落は、市街化調整区域に位置するため、地区内や近隣の生活利便施設の立地が少なく、公共交通の利便性も低い。そのため、車が運転できない高齢者の世帯において、日常生活の継続に課題が見られた。調査を通して、幹線道路との標高差によって住宅団地の間でも利便性に大きな差があり、居住者の居住継続意向にも影響があることがわかった。また、市街化調整区域による制約と住宅団地ごとの開発許可の違いが原因となり、相対的に利便性と居住継続意向が低い住宅団地に新規居住者が流入している。

  • 静岡呉服町名店街の取組に着目して
    杉田 光, 有田 智一
    原稿種別: 研究論文
    2022 年21 巻1 号 p. 57-63
    発行日: 2022/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    近年、地方都市の活性化において、「通り」の連続性や意識など地域の歴史性が重要な要素として評価されている。しかし、市街地活性化の手法のひとつである再開発事業では、周辺地域との連携不足などから、それらを損なう可能性があると考えられる。そこで、本研究では静岡市の中心商店街を対象に、行政や商店街組合へのヒアリング調査及び文献調査を通して、地域の歴史性を継承する再開発事業を実現する上での課題を明らかにした。対象地では行政と地権者双方が再開発事業において、「通り」の連続性や意識を継承する意図が見られた。一方で、歴史性を継承する意識は公共貢献として評価が難しく、地権者は補助金が得られないことにより、事業実現が困難となっていることが明らかになった。

  • 家政学における園藝から造園まで
    関村 啓太, 薬袋 奈美子
    原稿種別: 研究論文
    2022 年21 巻1 号 p. 64-68
    発行日: 2022/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本稿では、日本女子大学校おける庭園とその教育について、歴史的な傾向を概説する。1900年代、成瀬仁蔵によって創設された日本女子大学校では、園芸が奨励された。その後、1920年代には生活改善運動の影響を受け、住宅の敷地を「庭園」とみなす考え方が家政学に取り入れられ、庭園に関する知識が教えられた。日本女子大学校の通信教育でも1921(大正10)年から「庭園生活」という科目が講じられ、1950(昭和25)年からは生活藝術科住居専攻で造園学の授業が行われるようになった。また、日本女子大学の各所に優れた庭園があったことも確認された。

  • よこはまウォーキングポイント事業のアンケート調査結果より
    高橋 哲也, 樋野 公宏
    原稿種別: 研究論文
    2022 年21 巻1 号 p. 69-70
    発行日: 2022/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    インセンティブなどの外的動機づけは行動変容を促し、健康維持・増進に必要な身体活動の促進が期待できる。しかし身体活動量に及ぼすインセンティブの効果について報告している国内の研究はほとんどない。本研究では、横浜市の健康施策であるよこはまウォーキングポイント事業を対象に、歩数に与えるインセンティブの効果を分析した。その結果、個人属性を統制した後でも、インセンティブの獲得と歩数の間に正の相関があることがわかった。

  • 町田市玉川学園地域玉ちゃんバスを事例として
    太田 千智, 薬袋 奈美子
    原稿種別: 研究論文
    2022 年21 巻1 号 p. 71-74
    発行日: 2022/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    近年、地域の生活交通を確保する為にコミュニティバスが多く導入されてきた。COVID-19蔓延による公共交通機関の利用者の減少は深刻な問題であり、将来の生活基盤の為にコミュニティバスの持続可能性が問われる局面である。 そこで本研究では、従来のコミュニティバス運行と地域コミュニティとの関係を意識しつつ、COVID-19の蔓延による住民の生活の変化に伴うコミュニティバスの運行実態を把握することを目的としてヒアリング調査、アンケート調査を行った。その結果、住民はコミュニティバスを地域に欠かせない公共交通機関として考えており、コロナ禍においてもバスの日常的な利用が継続されていたことが明らかになった。

  • 藤垣 洋平, 矢吹 剣一, 後藤 智香子, 小泉 秀樹
    原稿種別: 研究論文
    2022 年21 巻1 号 p. 75-79
    発行日: 2022/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、東京都市圏の郊外ニュータウンを対象にして、人口趨勢と用途地域の指定状況や開発形態等との関係について定量的に分析した。その結果、「第一種低層住居専用地域」または「第一種中高層住居専用地域」が特に多い地区においては、人口減少地区が多くなっており、また「第二種低層住居専用地域」や「商業地域」または「近隣商業地域」が多い場合には人口減少地区に該当する地区が少ない傾向が確認できた。小規模の商業施設等の生活利便施設が立地できる「近隣センター」が形成できるか否かが、人口趨勢に影響していることが、このような傾向が生じる原因として考えられる。

  • 平山 知実, 野原 卓
    原稿種別: 研究論文
    2022 年21 巻1 号 p. 80-83
    発行日: 2022/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    東京都区部では市街地再生による都市化に伴い、元々低層であった街並みの中に高層がそびえ立つ地域が至る所に現れている。本研究の目的は、これらの地域を「新旧併存化地域」と定義し、その実態や特徴を把握することである。はじめに、調査対象の9区に26ヶ所の新旧併存化地域があることがわかった。二つ目に、高層と低層の位置関係より5つの類型が得られた。三つ目に類型毎のケーススタディを行ったところ、高層から駅への動線に旧建物が密接に交わるエリアにおいて、高層からの人の流れに旧建物が密接に交わることと旧建物が用途転用することは相関することが示された。今後のエリア更新に向けては、高層建築の位置や高層が抱える多くの昼間(夜間)人口を考慮した旧建物の有効活用について検討することが重要である。

  • 鈴木 舞衣, 薬袋 奈美子
    原稿種別: 研究論文
    2022 年21 巻1 号 p. 84-89
    発行日: 2022/06/08
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    外遊びは子どもにとって健やかな成長や幸福度の向上のために必要な生活行為の一つである。しかし、現代の子どもたちは外で遊ばない傾向にある。加えて、子どもの遊び空間は特に都市部において公園に限定化されており、自由に遊べる空間が不足している。 本研究では、子どもの外遊びの状況を把握するとともに、外遊びを妨げる要因の一つとして地域住民の外遊びに対する迷惑意識に着目し、調査を行った。その結果、地域住民は外遊びで発生する騒音に不満を持っていること、住宅が密集している狭い道路で特に苦情が発生していることが明らかになった。子どもたちは外遊びがルールやマナーによって規制されていると感じており、自由に遊べないことに不満を抱いていることがわかった。また、地域によっては路上で遊ぶことを好む子どももおり、郊外に住む子どもは都心に住む子どもに比べて路上で遊ぶ傾向があることがわかった。

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