2022 年 21 巻 3 号 p. 286-289
身体活動量には地域差が知られているが、都市の特性を考慮した大規模なデータは限られている。本研究では各都市で用いられる交通手段の割合と、目的別歩行時間および総歩行時間の平均値との関係を記述した。平成27年全国都市交通特性調査が実施された70都市の住民を対象に、2021年12月にオンライン調査を実施した。分析対象者数は28,449名(男性50.5%、49.6±15.6歳)である。代表交通手段のうち、鉄道の構成比が平均総歩行時間と最も強く相関した。つまり、「鉄道利用の多さ」という都市特性は住民の平均総歩行時間を決める指標として重要であり、生活全般での歩行機会の多さと関連していると考えられる。一方、自動車(運転)の構成比は、散歩、通勤/通学、買い物の目的別平均歩行時間と強い負の相関を示した。