2023 年 21 巻 4 号 p. 569-575
2005年のハリケーン・カトリーナの後にニューオリンズ市で行われた市民主導のプレイスメイキングの2つの事例―ラフィット緑道とサンコファ湿地公園について、その過程と復興期における役割について論じる。プレイスメイキングを通じて荒廃した土地が再生され、その過程で減災、能動的交通、環境保全、公平性、地域活性化、経済効果など多様な価値を生み出した。場を「作る」創成期から「維持する」継続期への移行を捉え、場を維持するための仕組みの重要性を指摘した。プレイスメイキングによって失われた場のアイデンティティが見出され、場を整えることで周辺環境が改善された。市民主導で多様な関係者との連携によって実施されたプレイスメイキングは復興期における人々の葛藤やジレンマを取り持つ。