2023 年 22 巻 3 号 p. 420-427
本研究は、復興支援員を数多く設置してきたとともに、近年では最も多く設置している福島県を対象として、復興支援員の実態と課題を明らかにするものである。本研究を通じ、復興支援員の活動は被災者や被災地の復興に貢献できていると認識されていること、原子力災害からの復興の課題として挙げられた移住者や交流・関係人口の増大やコミュニティの維持・再生等は復興支援員制度を活用して解消しうると認識されていること、すべての自治体が任期終了後も復興支援員に復興に携わってほしいと考えていることなどが明らかとなった。本研究の今後の検討課題として、任期終了後の支援を組み込む等の制度面の改善をすること、全国の避難者を対象として生活再建状況を調査・検証し、被災者の生活再建状況に即した避難者支援策の見直しが必要であることを指摘した。