本研究は、原発避難12市町村における移住政策の実態と今後の課題を明らかにすることを目的とするものである。原発避難12市町村を対象として実施したアンケート調査と、川内村を対象として実施した詳細分析に基づき、原発避難12市町村では、若者世代を主たるターゲットとして、まちづくり会社などと連携しながら、「子育てに関する施策」、「仕事に関する施策」、「住まいに関する施策」、「移住促進のための人材受入支援に関する施策」を中心とした移住施策を展開していること、一部の自治体は、福島再生加速化交付金を活用した移住・定住促進事業に対して改善を求めていること、多くの市町村は、住宅や雇用をはじめとして、移住の促進に向けた課題が山積していることなどが明らかになった。以上を踏まえ、住宅や雇用等の問題の解決に向けた福島再生加速化交付金や移住・定住促進事業などの制度の改善と、それらの制度を運用する組織体制の改善が必要であることを指摘した。