2024 年 23 巻 3 号 p. 398-
本研究では、四国地方の国立大学(徳島大学、香川大学、愛媛大学、高知大学)を対象に、旧軍施設の転用実態を整理する。罹災した学校の多くは、旧軍施設の使用を希望しており、実際に使用できた学校も多かった。各県の国立大学4校は、いずれも旧制前身校が旧軍施設に移転し、新制移行後も大学キャンパスとして使用し、香川大学以外は、現在まで使用し続けている。現在、愛媛大学と高知大学では、旧軍用地を転用した校地がメインキャンパスとなっているほか、徳島大学では医・歯・薬の各学部と附属病院のある大規模なキャンパスとなっている。このように、旧制前身校と旧軍施設が、県庁所在地やその近郊にあった徳島、愛媛、高知の3県においては、罹災校舎の代替だけでなく、新制国立大学のキャンパス用地として、旧軍施設の果たした役割は大きいと言える。