2005 年 3 巻 4 号 p. 86-91
都市が膨張の圧力を失い、最近の都市計画ではコンパクトな街の形成が求められる。このような時代においては、市街化調整区域における住宅地の開発を抑制することが、いよいよ重要である。しかし、私有財産の自由が過度に重視されるわが国の憲法体制にあっては、このことの実行は依然として難しい。一方、 1992年に制度化された都市計画マスタープランは、制定に当っての法的手続きが決められていないので、規制力が弱いと一般に言われている。しかし、ここに紹介するのは、この都市計画マスタープランを適切に活用すれば、上述の市街化調整区域における開発を有効に阻止することができた事例である。愛知県の春日井市においては市民の緑地として構想していた民有林の住宅地開発を阻止し、里山として保存することに成功した。