抄録
心電図R-R間隔を求め変動係数・自己回帰モデルにより,高齢者における特性を調査した。特に長期臥床が身体に及ぼす影響を分析するため,ベッド上寝たきりの群と屋内ADLの自立している群の両者を比較した。
その結果R-R間隔の変動係数は平均1.63±0.62%であり,60歳以上の高齢者においても加齢と共に低下する傾向を示した。また,両群の比較ではベッド上寝たきり群において有意にCVが低下していた。
R-R間隔を時系列データとして考え,自己回帰モデルにあてはめて分析すると,屋内ADLの自立している群に比し,ベッド上寝たきり群では呼吸性変動を表わす0.2〜0.3(Beat)-1リズムの減少が見られ,廃用性による呼吸循環器系の機能低下が考えられた。