2026 年 53 巻 2 号 p. 128-134
【目的】多発性硬化症の急性期治療後に,身体機能や日常生活動作が低下した症例の症状変化に沿った理学療法介入を検討する。【症例紹介】本症例は40歳代女性であった。急性増悪後1カ月で,左下肢運動麻痺や重度感覚鈍麻を有し,杖や装具で短距離歩行が可能も転倒恐怖感が強くみられた。また,疾患への自己管理能力が乏しく易疲労性は日によって異なる変化(日間変化)を呈した。【理学療法介入】症状変化に沿った運動課題の導入時期検討やBorg scaleでの負荷量調整,集学的教育や生活指導を含めた包括的介入を行った。また,歩行練習導入時には歩行補助ロボットでの練習を行った。【結果】増悪後2.5カ月で易疲労性が消失し,4カ月で歩行が再獲得となり,5カ月で復職が可能となった。歩行機能は歩行補助ロボット練習後に改善を認めた。【結論】本症例は増悪期~寛解期の症状変化に沿った,課題導入や負荷量設定が効果的であったと考えられた。加えて,歩行課題では積極的な歩行補助ロボット介入が有用であったと考えられた。