2026 年 53 巻 2 号 p. 135-142
【目的】意思決定の葛藤があった回復期脳卒中片麻痺患者にShared Decision Making(以下,SDM)を実施した経験を通じて,SDMの効果と課題を報告すること。【症例】症例は初発の右視床出血にて片麻痺を呈した60歳代女性で,杖や装具を使用せずに歩行できることを目標に理学療法介入を行った。【経過】入院時から運動麻痺や歩行能力は徐々に改善を認めたが,目標達成のためには足関節背屈筋力の向上と痙縮の抑制が必要だったため,それらの治療方針に関してSDMを実施した。また,症例に合わせて意思決定に必要な情報の提供方法を適宜工夫した。SDM実施後にDecisional Conflict Scaleに改善がみられ,歩行の目標も達成した。【結論】回復期脳卒中片麻痺患者の治療方針の決定にSDMを適切に用いることで,意思決定の葛藤が軽減する可能性が示唆された。SDMのフォーマットの確立が今後の課題である。