理学療法科学
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研究論文
健常成人の後方歩行の特徴
大杉 紘徳美和 香葉子重森 健太
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2007 年 22 巻 2 号 p. 199-203

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抄録

本研究の目的は,健常成人における後方歩行の特徴を明らかにすることである。対象は,当大学学部生27名(男性17名,女性10名)であった。測定項目は,10 m前方歩行,10 m後方歩行とし,後方歩行の終了直後にはVAS(visual analog scale)を測定し,主観的な恐怖感を確認した。なお,歩行速度は被検者の自由な速度(自由歩行)とし,歩行に要した時間(所要時間)と歩数,そして実際の歩行距離を測定した。結果,後方歩行は前方歩行と比較して,歩幅の減少(p<0.001),歩行率の減少(p<0.05),歩行速度の低下(p<0.001),歩行比の低下(p<0.001)が認められた。恐怖感は後方歩行とは関係が無かった。以上のことから,健常成人の後方歩行は,心因的要因に左右されることなく,歩幅を大きく減少させることにより,歩行速度及び歩行比を制御していることが示唆された。

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© 2007 by the Society of Physical Therapy Science
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