2012 年 27 巻 1 号 p. 73-76
〔目的〕妊娠末期における立ち上がり時の座面高の変化による下肢負荷量軽減効果を分析した.〔対象〕20~30代の健常な妊娠末期の妊婦8名と非妊娠女性8名とした.〔方法〕3次元動作解析システムにて,座面高400 mmと450 mmの2条件下での立ち上がり動作を計測し条件間で比較した.〔結果〕座面を高くすると非妊婦,妊婦とも膝関節伸展モーメントが有意に減少していた.非妊婦では,床反力鉛直成分が有意に減少し,妊婦では有意差はなかった.主観的運動強度では,妊婦は,座面高を高くしても自覚強度があまり変わらなかった.〔結語〕座面を高くすることは,膝伸展筋群の負担を減少させるが,立ち上がりやすさにつながらないことが示唆された.