2023 年 64 巻 2 号 p. 163-173
本研究では,教科書会社3社(X社,Y社,Z社)の2020年検定済中学校理科教科書に記載されている全ての「問い」を対象に,関根ら(2012)に基づく分類を行い,その特徴を明らかにすることを目的とした。分析の結果,以下の4点が明らかとなった。(1)「どのように+動詞(how+動詞)」,「どのような+名詞(how/what+名詞)」,「何(what)」といった検証可能な「問い」が全体の約83%を占めていること。(2)領域における比較では,各領域において「問い」の傾向が異なっており,エネルギー領域では,関係や規則性に関する「問い」が見られる。粒子領域では「はい・いいえ(yes/no)」が多い傾向にある。生命領域では「性質」が多く見られる。地球領域では「なぜ(why)」が多い傾向にあること。(3)学年における比較では,第2学年,第3学年において「問い」の傾向が異なり,第2学年では「どこ(where)」が多い傾向にあり,第3学年では「何(what)」,「変化・状態」が多い傾向にあること。(4)出版社における比較では,Y社において「どのように+動詞(how+動詞)」,「何(what)」,「手段」が多く見られること。