2013 年 28 巻 6 号 p. 745-750
〔目的〕曖昧な視覚情報からなる物の持ち上げ動作において,運動前野領域の脳活動と先行随伴性姿勢調節(APAs)の関連性について調査した.〔対象〕15人の健常男性とした.〔方法〕重量は同じであるが大きさの異なる3つの容器を用意し,対象者に持ち上げ動作課題を与えた.この動作直前の運動前野領域の脳血流反応と体幹のAPAs筋活動を測定した.〔結果〕大きな容器の持ち上げ動作直前に血流反応とAPAs筋活動の増加が観察された.加えて,視覚情報に基づいた重量の予測が正確でない例が観察された.〔結語〕大きさの情報により運動前野領域の神経活動が生じ,それに伴いAPAs筋活動がなされることが示唆されたことは,患者の持ち上げ動作の準備において,適切な視覚情報や重量情報を与えることの重要性を意味する.