抄録
〔目的〕嚥下障害を呈する高齢者の嚥下・咳嗽能力に着目し,人工呼吸器関連肺炎を予防することで,人工呼吸器からの離脱を目的とした.〔対象〕再挿管となった嚥下障害を呈する人工呼吸管理の高齢者とした.〔方法〕人工呼吸器の設定および実測値,酸素化能,呼吸疲労,嚥下,咳嗽および基礎能力を評価した.舌骨上筋群の運動性と舌骨の可動性の改善を目的とした理学療法を施行した.〔結果〕入院中に人工呼吸器関連肺炎は認めず,入院後第60病日で人工呼吸器からの離脱が成功した.〔結語〕人工呼吸器使用時より嚥下・咳嗽能力に着目した治療を行うことが,人工呼吸器関連肺炎を予防し,人工呼吸器離脱に成功する一助であることを示唆した.