抄録
〔目的〕本研究は介護老人保健施設に勤務する労働者の腰痛症に対して心理社会的要因と人間工学的要因とが与えている影響を明らかにすることを目的とした.〔対象〕介護老人保健施設に勤務する83名を対象とした.〔方法〕対象者に対して年齢,経験年数に加えて,心理社会的要因として恐怖回避思考を測定する質問紙である日本語版Fear-Avoidance Beliefs Questionnaireと,人間工学的要因として1日に行う移乗および体位変換を介助する回数を聴取した.〔結果〕重回帰分析およびロジスティック回帰分析によって解析した結果は,いずれも心理社会的要因である恐怖回避思考が有意な独立因子であった.〔結語〕腰痛症に対しては心理社会的要因に考慮した指導を再考していく必要があると思われる.