2018 年 33 巻 3 号 p. 431-437
〔目的〕手指模倣の所要時間から肢節運動失行(Limb-kinetic apraxia:LKA)の手指模倣の特徴を分析すること.〔対象と方法〕健常者8例,LKA患者4例を対象に,慣習的・非慣習的課題に分けた手指模倣課題を行わせ,模倣時間を測定し,各々単一と連続課題を施行した.〔結果〕健常者と比較し,4例で両課題の単一・連続ともに手指模倣時間の遅延を認めた.〔結語〕慣習的課題の実行過程は「運動記憶」と,非慣習的課題は主に「運動プログラム」との関連が考えられ,4例ともに「運動記憶の障害」が示唆された.一方,「運動プログラムの障害」は本研究ではその有無に関して言及できなかった.今回作成した手指模倣課題を実施することで,LKAの手指模倣の特徴を分析できる可能性があると思われた.