理学療法科学
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Print ISSN : 1341-1667
原 著
中高年女性において尿失禁が日常生活の QOLに与える影響
田尻 后子霍 明曽我部 美恵子岩崎 朱美四方 早子丸山 仁司
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2020 年 35 巻 3 号 p. 315-319

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抄録

〔目的〕中高年女性において尿失禁が日常生活のQOLに与える影響について明にすることとした.〔対象と方法〕自立生活している40歳以上の女性262人(56.1 ± 10.0歳),排尿状態における日常生活への影響について,①属性,②排尿に関すること,③日本語版IIQ(Incontinence Impact Questionnaire)質問用紙に無記名自己記入式による調査を実施し,多変量解析を行った.〔結果〕尿失禁ありは,111人(42.4%),以前に尿失禁の経験ありは,39人(14.9%),尿失禁なしは,112人(42.7%)であった.尿失禁のタイプは,腹圧性尿失禁が62名(55.9%),切迫性尿失禁が13名(11.7%),混合性尿失禁が36名(32.4%)であった.ロジステック回帰分析では,年齢とIIQの7項目「Q5.歩く・泳ぐ・スポーツでからだを動かす」,「Q11.地域の集会に行く」,「Q19.どんな服装をするか」,「Q30.恥ずかしい思い」(p<0.01),「Q6.娯楽(映画・コンサート等)を楽しむ」,「Q8.車やバスで家から30分以上の場所へ外出する」,「Q23.臭わないか,という心配のために活動が制限される」(p<0.05)の合計8項目が抽出された.因子分析では,因子1≪日常の生活行動≫,因子2≪余暇行動≫,因子3≪気がかりな対人行動≫の3因子が抽出され,Cronbachのα係数は,0.975であった.〔結語〕尿失禁を経験している中高年女性は,羞恥心などの心理的な不安を持ちながら基本的生活や対人関係,社会活動においてQOLに影響を与えていることが示唆された.

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