2020 年 35 巻 3 号 p. 403-407
〔目的〕胸郭柔軟性を簡便に評価する前胸部柔軟性テストの信頼性を検討した.〔対象と方法〕被検者は健常成人15名,検者は経験年数の異なる3名とした.被検者はベッド上側臥位で,両股関節・膝関節を屈曲90°位に設定した.検者は骨盤を固定し,肩甲帯を背側へ捻転させ,肩峰後角とベッドとの距離を測定した.信頼性の検討には級内相関係数(ICC)とBland-Altman分析を用いた.〔結果〕検者内信頼性はICC(1,1)=0.80-0.92,検者間信頼性はICC (2,1)=0.71-0.90であった.Bland-Altman分析では,検者内・検者間信頼性において-0.25~0.16の比例誤差を認めた.〔結語〕前胸部柔軟性テストは検者内・検者間信頼性が高く,臨床応用可能な評価法であると考える.