2021 年 36 巻 2 号 p. 285-292
〔目的〕非活動に伴う逸脱姿勢がもたらす弊害に対する理学療法介入の効果のエビデンスを検討すること.〔方法〕文献データベースを系統的に検索し,関連する論文を質的ならびに量的に分析した.〔結果〕検索構文と追加で抽出した論文415編のうち,30編が質的分析に,11編が量的分析に活用された.システマティックレビューでは,介入が身体の機能や構造,症状,能力に対して有効とする研究が比較的多く見出された.メタアナリシスでは,運動トレーニングが脊柱安定性・姿勢制御に対して,活動性を高める介入が身体各部の疼痛に対して,有効とは言えなかった.〔結論〕量的分析が可能な論文が少なかったが,質的分析で,理学療法介入が非活動に伴う逸脱姿勢の悪影響を改善する可能性が示唆された.エビデンスを確固たるものにするために,質の高いさらなる検討が必要である.