2018 年 79 巻 2 号 p. 109-117
本研究では, 2015年9月に北海道渡島大沼において発生したシロコ (乳白色ブルーム) について調査研究を実施し, その原因生物を明らかにすると共に発生機構に関して考察した。2年間に及ぶサンプリングと顕微鏡観察により,このシロコの実態は, アオコを形成する藍藻Dolichospermum planctonicum を摂餌した溶藻性原生生物Asterocaelum sp. のシストが湖面に集積したものである事が判明した。シロコ発生前,調査地点ではD. planctonicumが優占していたが (8.6 × 103 cells mL-1),シロコの発生後は藍藻Microcystis aeruginosa の細胞密度が増加した (1.2 × 104 cells mL-1)。藍藻類とAsterocaelum 属それぞれの細胞数の季節変動を明らかにしたため,D. planctonicum細胞密度の低下を定量化する事ができ,Asterocaelum属がD. planctonicumを捕食してシロコを形成するという従来の知見が裏付けられた。今後は藍藻類を原因とするアオコに加え,Asterocaelum sp. を原因とするシロコの発生も考慮に入れ,プランクトンの群集組成と水理環境のモニタリングを継続してゆく必要性が示された。