2022 年 83 巻 3 号 p. 197-205
地球温暖化に伴い,陸水域でも水温が上昇する可能性が懸念されている。国内では霞ヶ浦のように水温が上昇している湖がある一方,児島湖のように水温が低下している湖もあり,気候変動による影響はそれぞれの湖で異なる。しかし,これらで扱われている水温データは沖合,特に湖心部で観測されている例がほとんどであり,主に湖岸付近を利用する魚類や二枚貝に与える温暖化の影響を湖心水温のみから推測できるかは確認されていない。
本研究では,2021年8月から9月にかけて霞ヶ浦の湖岸5地点において水温の連続観測を行い,湖心水温と比較した。調査期間中の平均水温では,各地点に大きな違いは見られなかった。しかし,湖岸では夏季の水温が30°Cを超える回数が平均182回だったのに対し,湖心部は36回だった。そこで,8月中の水温が30°Cを超えるデータについて統計解析を行ったところ,湖岸3地点において水温が湖心より有意に高かった。
本研究で示されたように,高水温期の湖心と湖岸における水温は大きく異なることから,地球温暖化が湖の生態系に与える影響については湖岸での観測結果を合わせた予測や対策が重要と考えられる。