抄録
胃癌術前照射における所属リンパ節転移を検索するために1967年より1975年までの9年間に東京医科大学外科において術前照射を施行し胃癌取扱い規約に従い検索された進行胃癌197例(照射群)について非照射進行胃癌290例(非照射群)を対照に各因子別に比較検討し次の如き結果を得た.
結果
1. 照射群では非照射群に比し,転移率で13.1%,転移度で9.1の低下と第2群リンパ節以遠の遠隔転移の減少をみた.
2. 占居部位別にみると,上部C,中部M,下部Aの限局型で転移率の低下をみるが,特に,中部Mと下部Aでは第2群リンパ節以遠の遠隔転移の減少が著明である.
3. 廓清用リンパ節別にみると,照射群では各占居部位で第1群リンパ節と第2群リンパ節の(7), (8), (9)に転移率の低下をみた.
4. Borrmann分類別にみると, I型, II型, III型で転移率の低下をみるが,特に, II型, III型で著しい.
5. 組織型別にみると,腺癌,単純癌共に転移率は低下するが,特に単純癌で著しい.
6. 癌腫の大きさ別にみると, 6.0cm以下, 6.1cm以上共に転移率の低下をみるが,特に6.0cm以下のもので著しい.
7. 胃壁深達度別にみると, s2までは転移率の低下をみるが,特に, s1までは第2群リンパ節以遠の遠隔転移も著しく減少する.
8. 転移程度と5年生存率についてみると, n1(+)で4.5%, n2(+)で8.4%,照射群全例で12.5〓の向上をみた.
9. リンパ節転移癌巣のXの程度は照射線量の増加に従い強くなるが,主病巣のXの程度よりはやや弱い傾向を示した.
10. リンパ節転移癌胞巣のpH 4.1 TBM染色によるメタクロマジーの程度は偶然間質で陰性(-)~微弱陽性(±),癌固有間質で強陽性(〓)を示した.