抄録
消化管重複症は,幼小児期に発生頻度が高く成人では稀な疾患である.今回われわれは発熱と共に短期間のうちに急激に増大した成人の巨大な嚢胞状の回腸重複症を経験した.症例は50歳の男性で主訴は腹部膨満感,腹部CTにおいて上腹部から下腹部にまで及ぶ巨大な嚢胞が認められたが,消化管造影,血管造影,内容液細胞診にても診断がつけられなかった.手術は嚢胞摘出術を行った.大きさは(240×210×180mm)で結腸間膜,漿膜と強く癒着していたが,消化管との交通は無かった.嚢胞の内面は,回腸粘膜上皮,粘膜筋板,平滑筋層の構造を有しており,病理学的に消化管重複症と診断された.本症例の如く急速に巨大化した成人症例の報告は本邦では珍しく,若干の文献的考察を加えて報告する.