日本臨床外科学会雑誌
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結腸早期癌を重複した直腸肛門部無色素性悪性黒色腫の1例
和田 雅英石田 秀行猪熊 滋久下村 一之藤岡 正志出月 康夫
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1999 年 60 巻 3 号 p. 776-780

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抄録
直腸肛門部無(低)色素性悪性黒色腫としては本邦23例目,直腸肛門部悪性黒色腫と結腸癌の重複としては第1例目に相当するきわめて稀な症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は79歳,男性.便秘を主訴に来院した.来院時の視診・肛門指診で肛門縁直上に灰白色, 1/4周性の隆起性病変を認めた.注腸・大腸内視鏡検査では直腸肛門部の病変のほか横行結腸に半周性の広基性隆起性病変を認めたが,両病変とも生検では悪性所見は得られなかった. 4カ月後に行った直腸肛門部の病変の再生検でGroup 5と診断され,横行結腸から肛側の結腸切除を含む腹会陰式直腸切断術 (D2) を施行した.直腸肛門部の腫瘍は1型で,組織学的検索ではS-100蛋白およびHMB-45染色陽性の無色素性悪性黒色腫と診断した.横行結腸の腫瘍はO (Is) 型,深達度mの腺腫内癌であった.術後第81病日に多発性肝転移からの腹腔内大量出血のため死亡した.
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