1999 年 60 巻 9 号 p. 2469-2473
4例の非外傷性腹壁血腫を経験したので若干の文献的考察を加え,報告する.
いずれの症例も出血傾向,咳漱,凝固防止薬の内服,腹筋運動などの誘因をもって発症し,治療として血腫除去,ドレナージが施行された.4例中3例はUS, CTなどにより正確な術前診断が得られていたが,血腫の増大や激しい疼痛のために血腫除去,ドレナージが施行された. 1例は確定診断にいたらず,診断目的に手術が施行された.腹壁血腫の治療は保存的治療が原則であるが,そのためには確実な診断が必要不可欠である.確実な診断に至るにはまず本疾患を念頭に置くことと,画像ではUS, CTが極めて有効であると考えられた.特にCTは客観的評価が可能であり, USで不確実な症例には積極的に施行するべきであると考えられた.