日本臨床外科学会雑誌
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CA19-9産生胃粘液癌の1例
塩田 喜代美植木 孝宜塩崎 敦青井 重善平井 二郎中路 啓介宮内 卓
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キーワード: CA19-9産生胃癌
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2001 年 62 巻 12 号 p. 2935-2938

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抄録

CA19-9産生胃粘液癌の1例を経験したので報告する.症例は70歳,男性.外来で血清CA19-9の異常高値を指摘され,上部消化管内視鏡検査を行ったところ,胃体下部大彎側にBorrmann 2型の胃癌と診断された.平成12年2月16日幽門側胃切除およびD2郭清術を施行した.切除標本において組織学的にmucinous carcinomaと診断,免疫組織学的にも抗CA19-9抗体に染色された.術後,血清CA19-9値は劇的に低下し, CA19-9産生胃癌,粘液癌と診断された. CA19-9産生胃癌の本邦報告例は,検索しえた限りでは10例しかなく,なかでも粘液癌は非常に稀で3例報告があるのみである.通常の胃癌との予後の比較検討はなく,予後については今後のさらなる症例の蓄積が待たれる.本症例は,術後1年経過した現在も再発兆候を認めず,血清CA19-9値の再上昇もないが,再発についてはさらなる厳重な経過観察が必要と考えた.

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