抄録
毛巣洞は20歳前後の肥満と多毛の男性の仙骨部に好発する比較的稀な疾患である.症例は33歳の男性. 2001年7月より臍炎を繰り返し,抗生剤経口投与による5回の治療歴があった. 2002年12月25日,再び臍部痛が出現し当科外来受診.腹部CT検査で臍から尾側に2×2cm大の管腔状の腫瘤を認め,尿膜管遺残症の感染と診断した.抗生剤により炎症が消退した2003年1月22日に手術を施行し,臍部の腫瘤とともに可及的に尿膜管を摘除した.摘出標本で腫瘤内腔に毛髪が存在し,病理組織学的所見では同部に内芽組織と,炎症細胞浸潤を認めた.尿膜管は開存していたが明らかな炎症所見を認めなかった.以上より臍部に発生した毛巣洞と診断した.治療は腹膜への炎症波及の可能性もあり,再発防止の観点からも臍を含めた病巣の完全切除が重要である.