2018 年 59 巻 2 号 p. 182-186
非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)は,血栓性微小血管症(TMA)の一つであり,高度な腎機能障害を伴う。その発症には補体第2経路の異常な活性化が関与しているとされ,実際に約70%の症例では補体活性化機構の遺伝子異常を認める。血漿交換治療のみでは,その腎および生命予後は不良であるが,診断後早期にeculizumabを開始することにより腎機能の改善が期待できる。aHUSの多くは60歳未満の比較的若年成人に発症し,70歳以上で発症した症例は極めて稀である。今回,80歳で発症したTMAを経験した。ADMTS13活性が保たれていたことおよび,病原性大腸菌感染など他の要因を否定することにより,aHUSと診断した。透析療法を必要とするもeculizumabにより透析から離脱し得た。高齢者のTMAにおいても,aHUSは鑑別疾患の一つであり,適切な診断と治療を行うことが重要であると考えられた。