2022 年 28 巻 p. 67-72
本研究では,深層学習を用いたダム流入量予測において,未経験規模の出水を含めた適用性向上を目的とし,新しい学習データ拡張方法について検討した.提案手法では,一定の降雨が降り続けるような定常状態を仮定し,流域への総降雨量とダム流入量が等しくなる(流出係数が1.0となる)ような理論的な仮想出水のデータセットを拡張データとする.手法の適用性を検証するため,肱川水系の野村ダムを対象としてケーススタディを行った.過去17年分の実績洪水データに拡張データを加えたものを学習することで,流入量予測モデルの適用性向上を図った.野村ダムの過去事例を大幅に上回る大規模出水において,提案手法による予測精度の向上を確認した.