2024 年 30 巻 p. 191-196
近年,激甚化する気象現象による大雨によって,堤防からの越水に伴う堤防決壊による洪水氾濫で甚大な被害が全国各地において発生している.このような被災後の対策工の検討においては,河川堤防の土質特性を広範囲に把握することが重要となる.また河川堤防に限らず,被災を受けていない土構造物の健全性を評価するうえで,ボーリング調査は必要不可欠であるが,ICTや非破壊物理探査を有効利用することで,従来よりも効率的・効果的にボーリング調査実施箇所の選定が可能になると考えられる.そこで本稿では,変状の見られる河川護岸の現況把握に対して3次元管理システムおよび表面波探査を実施した事例について,その結果を報告する.調査結果より,河川護岸の変状が見られる裏込め地盤内ではS波速度の低速度領域が分布していたことや,点群データによる地山の変位が確認されないことから,裏込め地盤の吸出しによって護岸の変状が発生したと考えられた.以上のことから,点群データ技術に既往の地盤調査技術を加味することで,より迅速かつ合理的に対象構造物の状況把握が可能であることがわかった.